雲乃みい様:守×リュート



新年にカンパイ!? (4/6)



「っ」
思わず息を飲みながらも促されてわけがわからず言われまま正座する。
「で、脚もっとぴったりくっつけて。リュート脚細いからなー。こぼれそう。大丈夫かな? もうちょっと太腿を寄せて?」
ぐっと両脚を寄せられリュートの頭の中はさらにパニックになる。
「できた! ほら、ここ三角形になったところ! この股のところを器代わりにしてお酒をそそいで飲むんだ! それがわかめ酒」
「……」
「じゃ、ビール開けるね! ちょっとシュワシュワするかもしれないけど少しだけ我慢して?」
「……」
上機嫌に守はビール缶のプルタブを引いた。
「……」
「冷たいかもしれないな。ごめんね、リュート」
「……」
「うわー、ドキドキする!」
「……」
近づいてくる守に、リュートは……。
「……ッ、無理無理!! お前っ……バカっていうか、あほっ、変態!! なんだよ、わかめ酒って!!!」
一気に脚を崩すとベッドヘッドまで後退りしていった。
「え……だから股の間に酒を……」
「誰がそんなのするか! 却下だ!」
「え……だってリュートいいって」
「そ、そんな恥ずかしいことできるわけないだろ!」
「でも……お酒そそぐだけだし」
「い、いやだっ」
「……」
「……」
リュートの叫びを最後に部屋に沈黙が落ちた。
守は呆然としていたがだんだんと哀しそうに顔を歪めてうなだれる。
おそらく今日一番の落ち込みだと思われた。
いやいままでで初めて見るくらいの落ち込みかもしれない。
「……なんでそんなの……したいんだよ」
「……ネイトと一緒にネットサーフィンしてるときに見かけて……」
「……」
何のサイトで見かけたんだよ!、とリュートは言いかけ飲みこんだ。
「ネイトとしてみたいなって話しになって……。リュートのわかめ酒とかすっげぇ美味しいんだろうなって思って……」
言いながらもどんどん落ち込み度が増していっている様子の守。
(前々から思ってたけどコイツって結構ヘンタ……)
頭によぎった考えは途中で蹴散らした。
できれば恋人がそうだとは思いたくない。
「……普通に飲んだほうがうまいだろ」
「そんなことない! 絶対リュートだから飲みたい! ほかのやつとかじゃなくてリュートで!!!」
(俺とかじゃなくて、コップで飲めよ)
突っ込みたかったけど、いまにも泣くんじゃないかというくらいにしょぼくれてる姿にまたもや言葉を飲みこむ。
「だって……リュートとならどんなことでもしてみたいんだ」
「……」
哀しげに呟かれた―――が、実際内容は同意できないいかがわしいものだ。
そういや前はアナルビー……、と悪夢のような思い出がよみがえりかけて首を振った。
しかしよくよく考えればあれよりはだいぶマシかもしれない。
馬鹿馬鹿しいけど羞恥はあるが実害はないし、さっさと飲ませれば終わるわけだし。
「……絶対、だめ?」
今日何回目だろうか。
項垂れ様子をうかがう守の様子にほだされてしまうのは今日が新年になったばかりだからだろうか。
リュートはため息をついて視線を泳がせる。
出来ればしたくない、が、一旦すると言ったのは紛れもない自分だ。
そう考えると―――……
「わかったよ……」
しかたなく呟いた。
「……え?」
「……」
「まじで!?」
「……今日だけだからな!!」
「う、うん!!!」
やったー!!!、と今日一番の雄叫びを上げる守をリュートは苦笑しながら見つめた。

そして―――
「……っ、つめたい」
肌襦袢は着たまま、裾を大きくベッドの上に広げた状態でリュートは正座をしていた。
そして太腿をぴっちりとつけできた股間のくぼみに守がビールを少しずつ注いでいく。
かなり力を入れていなければこぼれてしまいそうでリュートは必死に太腿に意識を向けていた。
股間にビールとかありえない光景にうんざりするが、守はいたって真剣で、そして嬉しそうだ。
「こんなもんでいいかな」
「……」
リュートは太腿に全神経がいってて、守に反応できずにビールを見下ろす。
太腿がそのうちつるんじゃないかというくらいに力を込めている。
羞恥心はなりをひそめ、こぼさないようにとだけ気にかけていた。
そんなリュートの苦労など気づきもしない守は、
「いただきます!」
手を合わせると顔を近づけていく。
気を張っているリュートもだんだんと局部にそそいでるビールへと近づいてくる守の顔に恥ずかしさがよみがえってきた。
できれば逃げたい。
だけど動いたらビールがこぼれてしまう。
焦って迷っているうちに守はそこへ到達して、そして顔を突っ込むようにして飲みだした。
「……っ!!」
ビールをすする音が響いてきて、いよいよリュートの顔は真っ赤になっていく。
うまく飲めないのかぐりぐりと顔を押し付けてくる守の頭がお腹にあたって気恥ずかしさが増す。
飲み進めていくうちに舌を動かしてきて、その舌先が肌にぶつかってくる。
そそがれてたビールの量が減っていっているのは感じていたし、守の顔や頭や舌がふれるたびに力が抜けてしまいビールが少しこぼれているのもわかっていた。
じゅるじゅる、と恥ずかしいくらいのすする音を響かせ水量がなくなったのをしばらくして実感した。
だがそのまま守の舌はそこを舐めている。
「……っ、おい! もう飲み終わったんだろ!? 離れろっ」
リュートは恥ずかしさに耐えきれず守の髪を掴んで、頭を揺すった。
ちらりと守が顔を上げて、
「このままにしてたらベタベタするから、綺麗にする!」
「はぁ!?」
いきなり宣言したかと思うとリュートの脚を大きく開かせた。
急なことに体勢を崩したリュートは手をついてなんとかあおむけに倒れるのは耐えたが、その間に舌は太腿の内側だけでなく股間―――リュートの半身にも這ってきた。
「っ、守っ」
逃げようとしたが腰に腕がまわってかかえこまれる。
べろり、と生温かい舌が半身を舐め上げて身体が震えた。




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