雲乃みい様:守×リュート
新年にカンパイ!? (3/6)
「リュート、すっげぇかわいい」
一応タクシーの中でも拒否したがなんだかんだと辿りついてしまったラブホテル。
部屋に入るなりじっと見つめて顔を近づけてくる守に、なんだかんだとリュートも内心ため息をしつつ目を閉じた。
触れ合う唇にドキドキしながらホッとするのを感じていると、
「リュート……」
守が、息が吹きかかる距離で囁いてくる。
わずかに低くなった声にさらにドキドキしながらちらり視線を上げる。
「……俺、お願いがあるんだけど……」
言いにくそうに目を伏せる守にリュートは少しだけ優しく「なに」と問い返す。
「俺……俺ね……リュートの……」
守の熱く真剣な眼差しにドキドキがまた一層加速していくのを感じる。
「帯を……"あーれー"したい」
「…………あーれー……?」
なんだそれ、とリュートの顔から赤みがさっと消える。
「あれだよ。ほら時代劇とかでさ、悪代官が着物の帯をくるくるして脱がせるやつ! 『あーれー、おやめくださいまし』『よいではないか』とかいうやつ!!!」
「……」
「ってぇ!!!」
巾着はすでにテーブルに置いていたし、室内にはふたりっきりだったので遠慮なくリュートは守を平手打ちした。
「っとに、お前は!! バカ! ていうか変態ッ!!」
「だ、だって……男のロマン……」
「そんなロマン知るか!!」
「……だめ?」
「……」
「……リュート」
じーっと見つめてくる守にもう何回目かのため息をつく。
「……ダメだ。この着物借り物だし……汚したりしたら大変だ」
「……そっか……」
帯の外し方ひとつでありえないくらいにがっくりと守は肩を落とす。
哀愁さえ漂わせているその姿にリュートはほんの少しほだされた。
新年だし……少しくらい守の希望を聞いてやってもいいか、と思ってしまったのだ。
「……帯はダメだけど……。ひとつだけならお前がしたいこと聞いてやるよ。ただし変な……」
「まじで!!!!?」
最後の方は守の大きな声にかき消されてしまう。
「あ、ああ……。でも変なこと……」
「やったー!!! ありがとう、リュート!!!!」
尻尾があったらきっとめちゃくちゃに振ってるんだろうなというくらいに顔を輝かせてる守にリュートもつい微笑む。
「今日だけだからな」
「うん!!」
しょうがないな、と思うけど、それも惚れた弱みだ。
喜んでくれるなら多少のことならしてあげよう―――。
そう、思ったのだが。
これを激しく後悔するのはすぐあとだった。
―――――――
―――――
――――
「……っ、ん」
ほんの少しだけ、気持ち帯をくるくるさせてとり、着物も脱いで肌襦袢姿になったリュートに守は角度を変え深い口づけを落としていた。
本当は肌襦袢も脱いでおきたかったが、守がどうしてもといい仕方なくこの状態だ。
ほとんどされるままだが絡みついてくる舌に必死で応えようとリュートも舌を動かす。
脳内に響く水音にドキドキはとまることなく、いつか壊れるんじゃないかというくらいに速く心臓は脈打っている。
キスの間に腰に添えられてた守の手が動きだして肌襦袢の中に潜り込んでくる。
肌を滑る体温にきつく目を閉じているとベッドに座らされた。
「……リュート……大好き」
熱っぽい吐息をつきながら守が囁いてくる。
肌襦袢の前身ごろを広げられ鎖骨に吸いつかれ、小さく身体が震えた。
「……守」
いつまでたっても身体を重ねることに慣れることはなく、恥ずかしくてたまらない。
羞恥に顔も身体も染めるリュートを守は愛おしそうに微笑む。
ちゅ、ちゅ、と開いた胸元にキスを落としたあと上目にリュートを見つめてきた。
「ね、リュート」
「なに……?」
「あのさ……さっきなんでもひとつだけなら俺がしたいこと聞いてあげるっていったの……、いまいい?」
「……いいよ」
"なんでも"とは言っていないが、それでもいまのムードでぶち壊すようなことはないだろうとリュートは恥ずかしそうに頷いた。
―――後悔するとも知らず。
「あ、あのさ……俺……」
守もまた恥ずかしそうにはにかむ。
「あの―――……わかめ酒してみたいんだ」
「……わかめ酒?」
酒の種類か?
いやでもしてみたいってなんだ?
と、怪訝に問い返すと、
「いい? リュート、お願い!」
手を握りしめて守が懇願してくる。
その必死な様子につい押されるように小さく頷いてしまった―――のが後の祭り。
「やったー!!」
上機嫌に叫ぶ守に、リュートが恐る恐るいまさら聞いてみる。
「わかめ酒って……なに?」
「へ? あ、いまから説明しながらするね! リュートはじーっとしてればOKだからさ! 俺、お酒持ってくる! リュートはパンツ脱いでて!」
「あ、あの……え、ぱ、ん……」
自分で脱ぐ!?と、思わぬ守の言葉に顔を青く赤くさせうろたえる。
なぜ脱がなきゃいけないのか戸惑っているあいだにビールを片手に守が戻ってきた。
「酒って日本酒がよかったんだっけ? ま、ビールでもいいよな、たぶん!」
「……守……、あのわかめ酒って」
軽はずみに頷いたことに後悔し始めながら不安に守を見ると、一旦ビールを置いた守がリュートの傍らに座り肌襦袢の裾を割って手を差し込んできた。
「ちょ、っちょ」
太腿にビールを持っていたせいか冷たい守の手が触れて、パンツに指がかけられる。
「パンツ脱いでするんだよ」
「だ、だから何!?」
酒とパンツが何の関係あるんだ。
軽くパニックになるリュートににこにこ笑いながら、制止も気にせず守はリュートからパンツをはぎ取ってしまった。
下肢が涼しくなって恥ずかしさに裾を戻そうとするが、すかさず大きく開かれる。
むき出しになった脚を守は指さした。
「まずココは脚の間に挟んで正座して」
ココと言いながらセクハラよろしくさらりとリュートの半身に指が触れた。
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