こやま圭様:守×リュート






(※R18 守×リュート)







『愛ノコトノハ』


「これ、受け取ってくれないかな?」

照れ臭そうに小さな小箱を差し出し、リュートの掌に載せる。
今日はリュートの誕生日。ネイトお手製のご馳走を食べて皆で盛大にお祝いをし、ネイトと鈴哉は「出かけてくる」と言い残し外出してしまった。
二人は部屋へ戻り、くつろぐリュートへ守は恥ずかしそうに小箱を差し出した。

「絶対リュートに似合うと思って。本当はペアネックレスなんだけど一個しか買う金が無くて……でもいつか俺も買おうと思ってるんだ」

つけて良い?……と小箱から出したネックレスを差し出す守に、リュートは頬を赤らめコクリと頷く。
ネックレスはシルバーとピンクゴールドのベビーリングが二つ重なった可愛いデザインだった。
守がつけ易いようにリュートがぎゅっと目を瞑り顔を前へ突き出すと、その仕草が可愛くて守の心臓は早鐘を鳴らす。
白く細い首筋に腕を回しリュートの首元に顔を近づけると、鼻腔をくすぐるフワリと香る甘い香り。
バイト帰りに直接来たのだろう……守は止め具をはめながら首元に香るドーナツの甘い香りを無意識に嗅ぐ。
首筋に触れる守の息にリュートの肩がビクッと震えた。

「……!何っ!?」
「ごごごごっ…ごめん!!あんまり良い匂いだったから……」
「守は……ドーナツの匂い好きなのか?」
「あ……うん。好き……っていうかリュートの匂いなら何でも」
「……!好きに……しろ」

頬を赤らめプイッと横を向くリュートの首に守は腕を回し、ぎゅっと抱きしめる。
首筋に鼻を近づけ大きく息を吸い込み甘い香りを楽しんでいると、気恥ずかしくなったリュートに胸板を押し放された。

「……んな、じっくり嗅ぐなっ!」

胸板越しにリュートの掌に伝わる、守の鼓動。
その鼓動はドクドクと脈打ちリュートの掌に守のトキメキを伝えた。

「守……」
「リュートの……胸の音も聴きたい」

守はリュートに覆い被さり、薄い胸板にそっと耳を当てる。

トクントクントクン……

しんと静まり返った部屋でリュートの胸の鼓動だけが守の鼓膜に響いた。
顔を赤く染め口をへの字につぐんだままのリュートの頬に守は手を添える。

「駄目だ……我慢出来ない。キスして……いい?」
「聞くな……馬鹿」

唇と唇が触れるだけの優しいくちづけ。
次第にくちづけは勢いを増し、ちゅっちゅと音を鳴らしながら啄ばむようなキスへと変わっていった。
二人はちゅくちゅくと舌を絡め、糸引く互いの唾液を貪りあう。

「んっ……はぁっ」
「んんっ……リュー……ト」

おずおずと差し出される舌を追いながら、守の右手がシャツの中へ吸い込まれた瞬間、リュートの肢体がビクンと跳ねると守は身じろぎする。

「ごっ……ごめん。俺、がっつきすぎた……」

守は唾液を糸引かせながら慌てて身体をリュートから離した。
自分はいったい何をするつもりだったのか?
甘い香りに惹かれ、理性を手放しそうになった守は頬を染めながら作り笑いをし、懸命に場を取り繕う。

「怖がらせてゴメン……つい調子に乗りすぎた。忘れて……」

不意に白く細い両腕が首に絡まり、守は紡ぎかけた言葉を飲み込んだ。
瞳を潤ませ声を震わせながら守をぎゅっと抱きしめ、リュートが呟く。

「忘れろって……なんだよ。お前……冗談で、ンな事すんのかよ……」

ベッドに連れてけよ……震えながらか細い声を紡ぎ、リュートが守の耳元で囁いた。



シーツの白さに負けない位、真っ白なリュートの肌。
シャツのボタンをひとつ…またひとつと外していくと露わになる胸の飾り。
まるで壊れモノを扱うように優しく胸の突起を唇で挟むと、リュートの身体がビクンと跳ねた。
舌先でくすぐり、もう片方の突起を捏ねるように摘むと守の頭上に甘い吐息が零れる。
チラリと見遣り目が合うと、羞恥で顔を真っ赤に紅潮させたリュートに守は頭をポカリと叩かれる。
そんなリュートが可愛くて……舌を休めず、右手を下腹部へと落とした。

「あっ……」

ズボン越しにやんわりと揉みしだくと内腿をぎゅっと締め、快楽から逃れようとする内腿の間に右足を割り入れる。

「んっ……はっ……」

ズボンの中で徐々に硬さを増し窮屈そうに張り詰めるリュートの昂ぶりをなぞりつつファスナーを下ろす。
下着の中に手を入れると先端からヌルヌルとした露を零す昂ぶりを優しく扱くと、頭上から甘い嬌声が零れた。
恥ずかしそうに口元を隠すリュートの耳元で守が、そっと囁く。

「キモチイイ?声……もっと聴きたい」

守の吐息がリュートの耳をくすぐり、その声が心地よくて……リュートの背筋をゾクリとした感覚が走る。
耳朶をきゅっと甘噛みすると、細い指を懸命に守の背に立てた。

「やぁっ……そんな言い方……すん、な」

鎖骨に舌を這わせ先端から溢れる先走りの液体をそそり立つ昂ぶりに塗りたくると、リュートが扇情的な声を上げた。

「あっ……んんっ……何か、変……」
「俺だけのリュート……もっと見せて」

リュートの痴態に興奮を隠し切れず守は息を荒げながら呟くと、下腹部へと頭を落とした。
ご馳走を味わうように、露を滴らせるリュートの中心を頬張り、優しく口淫を施す。

「やぁっ……そんな所……っ」
「もっと……もっと気持ちよくなって。リュートのその顔見てるだけで俺も気持ち良い……」

肉棒を頬肉に擦りつけ刺激を与えると、蜜の味が咥内に広がる。
喉元を通る自らの唾液と愛液の混ざり合う液体を守は舌の上で味わった。

「やっ……まもっ……出るっ!離し……てっ」

守の咥内で弾けた白濁を飲み干そうと試みるが、飲み込みきれなかったモノが守の口角から漏れる。

「やっ……バカ守。飲むやつがあるかよ……」

羞恥に身を捩りながら枕に顔をうずめるリュートの耳朶に、ちゅっとくちづけを施した。

「リュート……マジ可愛い。もう俺止まんない……ホントに良い?」
「バカ守……聞くなって……言ってんだろ」

目尻に涙を浮かべ、恥ずかしそうに守から視線を逸らすリュートの両足をグイッと開かせる。

「慣らさないとリュートが辛いから……少し我慢して」

濡れそぼる昂ぶりから零れる滴りを後孔へと塗り込め人差し指をそっとあてがうと、慣れない感触にリュートは、か細い声を上げた。

「あ……んんっ」
「指、挿れるよ?」

本来挿れるべき場所ではない後孔へ、ズブリと挿し入れられる違和感でリュートの身体が恐怖に強張る。

「大丈夫?リュートが辛いなら俺止めるよ?」
「んんっ……大丈夫だから……さっさと……挿れ、ろ」

守は指を根元まで挿し入れゆっくりと動かしながら、少しでもリュートの苦痛を和らげようと昂ぶりを愛撫する。
前へ与えられる快楽により緊張の緩んだ後孔がスムーズに指を飲み込み始める様に安堵の溜息を漏らした。

「んんっ……何か……変な感……じ」
「辛くない?」
「だい……じょう、ぶ」

リュートのイイ場所を探そうと人差し指をクイッと曲げると、手の中の昂ぶりがビクリと跳ね貪欲に快楽を求める場所を探り当てる。

「ここ……イイ?」
「ひゃ……ん、そこ……変……」

後孔が解れてきた頃を見計らい、指を増やし前立腺を執拗に攻め立てた。
前と後ろを弄られ、静かな部屋にくちゅくちゅと淫らな水音だけが響き渡る。

「リュート……そろそろ挿れるから辛かったら言ってくれよ?」
「だい……じょうぶ……だって、言ってるだ……ろ」

リュートの艶かしい痴態を見るだけでいきり勃つモノを守は小さな後孔へとあてがうと、負担をかけまいとゆっくりと挿入していく。

「んあ……はっん……」

呼吸を忘れ、リュートの顔が苦痛に歪んだ。

「リュート……辛かったら……」
「止めんなって……言ってる……だろ、バカ守」

苦痛を少しでも和らげようと、屹立する昂ぶりへ懸命に愛撫を施すが、守の昂ぶりはリュートを苛み続ける。

「んっ……はぁっ」
「……」

どれだけ愛撫を続けてもリュートの後孔が守の大きな昂ぶりを受け入れる事は困難で、リュートを苦しめた。
眉を顰め守は自身の昂ぶりを引き抜き、リュートの中心と一纏めに握り上下に擦り上げる。
ナカを苛む圧迫感から開放され、予想だにしなかった守の手淫にリュートの肢体が跳ねた。

「やっ……あっ」

二本の昂ぶりが擦り合わされぐちゅぐちゅと音を立てながら、二人の体液が混ざり合う。

「やっ……んっ」
「リュー……トっ!」

白濁を守の手の中に吐き出し、二人は共に果てた。



(……出来なかった)

言い出したのは自分なのに……苦痛を顔に出してしまった為に守はリュートの身を案じ、最後までする事が出来なかった。
背を向け布団の中で落ち込むリュートを守がそっと抱く。

「どうしたんだ?リュート」
「ゴメン……」

リュートの頬を涙が伝う。
守に涙を悟られてはいけない……涙を見せると守を困らせてしまう。
伝う涙を懸命に拭った。

「……リュート、こっち向いて?」
「やだ……」
「なんで?」
「ゴメン……出来なかった」

不意にグイッと肩を掴まれ、守の方へと向かされた。

「俺、身体目当てじゃないよ?」

リュートの瞳を真っ直ぐ見つめる、守の熱視線にドキリとする。

「リュートが好きだ。一緒にいるだけで幸せだ。リュートの温もりがあるだけで俺は満足。ずっとキスしていたい……」
「守……」

瞼に頬に唇に……守の暖かい唇が落とされる。

(キモチ……イイ)

無数のくちづけを落とされ、リュートは夢見心地でまどろみに身を任せた。



どれだけの時間まどろんでいただろうか?
隣でスヤスヤと眠る守の髪をクシャっと撫でる。
一緒にいるだけで幸せ……守の言葉を反芻し、つい頬を緩ませる。
ふと、守から贈られたネックレスのリングの内側に刻まれた文字に気付いた。

Je suis heureux d`etre avec vous(一緒にいるだけで幸せ)

英語ではない、仏語で書かれたメッセージ。

(守……仏語読めたっけ?)

頬を緩ませ笑みを零し、リュートは守の額に優しく唇を落とした。

「守…俺も好きだよ。一緒にいるだけで幸せ……」

守の額に自らの額をコツンと当て瞳を閉じ、リュートは再びまどろみへと身を委ねた……


END

私の誕生日祝いだからバースデーネタなのだそうです。えへへ誕生日でよかったー!!
続編で、守の誕生日SSをみいさんが書いてくださりました!







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