雲乃みい様:ネイト×鈴哉
Sweet Drug (3/4)
「なんだよ、もうギブ?」
「……っ、ギブでいい……。だからもう外せ……っ」
「えー」
まだまだこれからだろー、とビーズをこれ見よがしに挿れようとする手をさらに押しとどめて、ネイトの手越しに数個挿入されていたビーズを抜き取った。
「っ、……」
実際自分の体内から出る様子を見ると羞恥が激しくて顔が熱くなるのを感じる。
「これから良くなってくのにもったいねーなぁ」
ローションで濡れたビーズをおかしそうにネイトは触りながら俺の顔を覗き込む。
煽るような眼差し。
「鈴哉にはまだ玩具は早かった?」
からかう声。
乱れた息を整えながら俺はネイトに顔を近づけ、最初されたのと同じようにネイトの下唇を甘噛みした。
「……玩具はもういい。……俺は、早くお前としたい……」
もしかしたらネイトの言うように俺にはこういった玩具を経験するには早いのかもしれない。
慣れればそうでなくなるのかもしれないが、やっぱり俺は―――。
「……おい?」
恥を忍んで言えば、ネイトは少し呆けたような顔をしたあと吹きだした。
「……なんで笑う」
ケラケラ笑って、ネイトは目の端に滲んだ涙をぬぐうと俺をまたベッドに沈めた。
「そりゃー鈴哉が可愛いこというからだろ?」
「……可愛いって……」
「そんなに俺のほうがよかった?」
「……そうだと言ってるだろ……」
「ふーん」
「……―――っ」
両脚を広げられ、後孔にネイトの熱があてがわれる。
ガチガチに硬い状態のネイトの半身に気を取られていると、先端がめりこみ、一気に俺を貫いた。
「っ、あ……ッ、ん」
ビーズで十分にほぐされていた後孔はあっさりとネイトの剛直を受け入れる。
「ふ、っあ、くっ」
そして熱く肉壁を押し広げる感触に身体は一気に昇りつめた。
「っあ、ああッ」
全身をかけぬける快感に背中がしなり、脚が震えた。
「……鈴哉?」
浅い呼吸を繰り返す俺をネイトが不思議そうに見つめる。
「お前、もしかして」
「う……うるさい」
「なにもイってねーじゃん」
「……」
「しかもこっち出てないし」
くすくす笑いながらネイトの指が俺の半身に触れてきた。
熱く滾って硬くなってる俺のは、ついいまさっき"イった"けど、なにも吐き出してない。
その事実とネイトの視線に顔が異様に熱くなって腕で目を覆うとしたらその手をシーツに縫い止められた。
「そんなに気持ちヨカッタ?」
「……」
お前があんな玩具で焦らすからだ。
なんてこと、言えるはずもない。
視線を合わせられないでいると、俺の腕を押さえる手に力がこもり、そして腰を押し付けられた。
「っん」
また少し奥へと挿ってきたネイトのもの。
大きくて硬く、熱く脈動しているのが伝わってくる。
「俺は……すっげー気持ちいい」
「……―――」
眉根を寄せて呟くネイトを、見つめる。
無意識に口が動く。
だけど声は伴わなかった。
「なに?」
問い返されて、戸惑う。
「……いや……ほんとうに……か」
「は?」
「……なんでもない」
視線を伏せたけど、ネイトの視線を感じて顔を背ける。
沈黙が数秒落ちて、空気がほんの少し振動した。
「鈴哉」
真上に影が落ちてネイトが目前に迫る。
あいた片手で顎を掴まれて視線を合わせさせられた。
気まずくて目を伏せそうになったら、それより早くネイトの声が落ちた。
「リップサービスじゃねーよ」
緩く笑う顔はいつもと同じで、"前"とは違う。
俺のうぬぼれがそう見せているのか、実際変わったのかよくわからないけど。
昔よく見ていた笑みよりも穏やかで、優しい。
「……知ってる」
だから俺がそう言えば、
「だろ?」
とさらに笑われた。
「じゃー鈴哉のためにがんばろうかなー、お兄さん」
「……はぁ?」
なんだお兄さんって、と言いかけた途端、ネイトが動きだした。
ビーズとは全然違う。
あれはあれで―――確かによかった……けど。
ネイトの熱が出ていって、また隙間なく俺の中を埋め尽くすたびに身体が震える。
ゆっくりとした律動が次第に速さをましていく。
同時に少しずつネイトの顔からも余裕さが消えていく、ように思えた。
俺は―――
「っん、あ……っ」
全然余裕はないんだけど。
体位を変えたりしながら何度も何度も貫かれ揺さぶられて、全身が性感体になってしまったようにびくついて震えて感じてしまう。
さっき達したばっかりだというのに、いつ爆発してもいいくらいの疼きに俺は手を伸ばしてネイトに抱きついた。
必死にしがみつく俺にネイトが小さな笑いを落としたけど気にする暇もない。
一層激しく突きあげられて羞恥を感じる間もなく声を上げさせられる。
やっぱり、またイキそうで、しがみつきながら俺はどうにか気を紛らわそうとすぐそばにあったネイトの顔を引き寄せて唇を重ねた。
「……っう、ん」
だがそれが失敗だったとすぐに気づく。
ネイトとキスするようになったのは最近だ。
身体を重ねる関係はずっと前からだったけど、キスは付き合うようになってから。
だから俺の経験値とネイトの経験値には大きな隔たりがあって。
「ン……っ、ぁ」
絡みついてくる舌にいいように翻弄され、咥内でも快感を与えられる。
結果自分で逃げ場をなくしているわけで―――。
「っ、ぁ……ふ……っ」
舌を混じり合わせているだけで、なんでこんなに気持ちいいんだろう。
脳内が沸騰するように溶けるような感覚を覚えながら、下は下で全身に熱を飛ばしてくる。
息が苦しくて、だけどキスを止めることもできない。
揺さぶられて迫りくる絶頂の波に少し怖くなるが、自ら腰を揺らすことを止めることもできない。
静かな部屋に響くのはどっちからしてるのかわからない水音とベッドの軋む音。
それからたいして時間はたたず、全身が小刻みに震えだした。
耐えようとしても耐えきれない波にさらわれる。
そしてそれに気づいたらしいネイトが前立腺をえぐるように激しく突いてきた。
「……ッ、ぁ」
震えを制御できないままに、目の前がスパークする。
強烈な快感は思考回路を焼き付けてしまったように頭を真っ白にした。
激しく身体が痙攣し腹部に熱い飛沫がかかるのを感じる。
次いで俺の中のネイトの半身が膨張したような気がして、そのあと小さく呻く声が聞こえてきた。
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