雲乃みい様:ネイト×鈴哉
※R18 使用:大人のオモチャ
(両思い前提)
「大人の階段のぼろうぜ☆」
ウィンクひとつ寄こして言ったネイトが差し出したモノを見て―――激しく目眩がした。
答えはもちろん、
「しない」
に決まっている。
【sweet drug】
いつも使うラブホテル。
何回か泊ったことのある部屋。
いつもと同じように着いた部屋で、互いにシャワーを浴び、ベッドにそろって腰を下ろしてジュースを飲んでいたらネイトが突然"ソレ"を取り出して言った。
「大人の階段のぼろうぜ☆」と。
「……」
ネイトが手に持っているのは透明のパケージに入ったピンクのスケルトンタイプの―――大人の玩具、と言われるものだ。
「しない」
俺がそう言うとネイトはにっこりと浮かべていた笑顔を少し崩してわざとらしく口を尖らせる。
「そっけねーな。鈴哉ー、お前これがなにか知ってるか?」
「……」
またもにっこりと目を細めるネイトに俺はため息をついて顔を背ける。
「知ってる」
「だよなー」
背けはしたが、横目で見ればネイトは少し意地の悪そうな顔でニヤニヤしていた。
そしてその封を切って、中身を取り出す。
スケルトンのそれは―――球体が連なった形をしている……アナルビーズ。
その名のままにアナル用の玩具だ。
ネイトはそれをへらへら笑いながら俺に近づけ、
「……なんのつもりだ」
頬に先端を押し付けてきた。
ひんやりとした感触とゴムの匂いに眉をひそめる。
「だってー、鈴哉ってば怖い顔してるんだもん。せっかく玩具買ってきたんだし、楽しもうぜ?」
な?、と俺と視線を合わせてきた。
もちろんすんなり頷けるはずがない。
なんだって突然アダルトグッズなんだ。
またため息がでそうになって、それをなんとか胸の内で収める。
「……俺がお前に使ってやればいいんだな」
そして俺が使われるんじゃなければいいんだ、とその玩具に手を伸ばす。
だが寸前でかわされ、ネイトは首を傾げて吹き出した。
「まっさかー」
俺は絶対いやだからな、という前にネイトが俺の耳に顔を寄せて囁いた。
「鈴哉に使うに決まってんだろ?」
耳に響く低音。
色欲を孕んだ声にバカ正直に身体が反応しかけて、慌てて身体ごとネイトから逃げるように背を向ける。
「誰が使うか。俺は絶対に使わない」
「またまたー」
なにが、またまた、だ。
「俺は絶対に使わないからな」
興味がまったくないと言えば嘘になるかもしれない。
だけどネイトが使ってくる、となれば不安の方が大きい。
ネイトを振り向かずに断言すれば俺の肩に抱きつくようにネイトが身体を寄せてきた。
両肩にネイトの腕が乗る。
片方の手には相変わらず玩具が握られていて、視界に入ったソレから視線を逸らした。
背中に重みがのしかかってくると同時に耳朶を舐められた。
「すーずなりー」
振り返らなくてもわかる。
きっとネイトは変わらず笑っているんだろう。
俺を……煽るような眼で。
「なー、しようぜ?」
「嫌だと言ってるだろう」
「なんで?」
「なんでって、お前な……」
「だって、鈴哉」
そして耳の近くで響く声は、動いた唇は、
「っ」
俺の耳をぱくりと咥え、舌が這って耳朶を舐め、そして軽く噛んできた。
小さな痛み。
なのに、ゾクリと背筋に流れるのは不快感じゃない。
「気持ちイイこと好きだろ?」
しようぜ、ともう一度言いながらネイトはさらに背中に体重をかけバスローブの中へと手を侵入させてきた。
「ちょっと待て」
俺よりも経験値が高いネイトに触れられたらきっと流されてしまう。
慌てて離れようとしたが、それよりも早く的確に肌を伝った指は下肢に触れてきた。
ラブホテルだし、シャワー浴びたらすることはひとつ。
だからパンツは履いてきていなかった。
ダイレクトにネイトの指が俺の半身に触れ、掌で包み込むとやわやわと揉みだした。
「っ、おいっ」
肩越しに振り返って、すぐそばにいたネイトと目が合う。
やっぱり、な笑顔。
だけど前とは―――少し違う。
「鈴哉のヤラしーとこ見せてよ」
俺の目を覗き込んでそう言って、キスなのかそうでないのか下唇を甘噛みされた。
俺は深いため息をつき、
「今日だけからな……」
仕方なく呟いた。
どうやら俺は"好きな相手"の頼みには弱いらしい。
きっとあとで後悔しそうだが楽しそうな笑みを浮かべているネイトに黙って押し倒された。
―――――
――――
―――
NEXT
BACK|TOP|NEXT