こやま圭様 : 守×リュート
こぼれるほどのこの愛を
「リュート…」
ちゅっと守はリュートの瞼にくちづけた。
家庭教師に来て貰った筈なのに…止め処なく溢れる欲求を抑える事が出来ない…
キスがしたいキスがしたいキスがしたい…
柔らかなリュートの頬を両掌で挟み、瞼、額、鼻筋…そして唇へとキスの雨を降らせる。
唇を離すと頬を赤らめうっとりとした表情で守を見つめていたリュートが我に返り、守の胸に両腕を突っ張り引き離すと守の座る椅子がギシッと軋む。
「…っ!こんな事しに来たんじゃないっ!カテキョに来たんだぞ!!」
「ごめんっ…もうちょっとだけ…」
「…んっ」
緊張で身体をガチガチに強張らせ、固く閉ざされているリュートの唇を無理矢理こじ開けるような真似はしない。
ちゅっちゅとついばむように軽く触れるだけのキスを二度三度と繰り返し、リュートの柔らかな唇を味わう。
何度くちづけを交わしただろうか…?
リュートは、ぷはっと守から唇を離すと俯きながらポツリと呟いた。
「もう…いいだろ?お前…そろそろ勉強しろよ」
「ごめん…もうちょっと…」
リュートの肩を引き寄せぎゅっと抱きしめると良い香りがする…甘い甘いドーナツの香り。
「…良い匂い。食べちゃいたい」
「ばっ…嗅ぐなっ」
リュートの首筋をクンと嗅ぐとリュートは身を捩じらせたが、守に抱きすくめられビクともしない。
「うん。食べたりしない。食べちゃってリュートが無くなっちゃうと嫌だ。だからこうやって匂い嗅いで…ずっと抱っこしてたい」
「…」
おずおずと伸ばされたリュートの腕が逞しい守の背中に回され、広い背中をぎゅっと抱きしめる。
「俺…ずっとこうしてたい」
「…駄目だ。勉強しろ」
「ん…じゃ、もうちょっとだけこうしてて」
「…ちょっとだけだからな」
二人の胸の鼓動が合わさり一つの旋律を奏で、守とリュートはお互いの温もりと幸せを感じながら、互いの肩に顔をうずめた。
このまま時間が止まればいいのに…と思いながら。