桜雪猫様&ゆきレモン様:守×リュート
ゆきレモンさんがイラストを、桜雪猫さんがSSを書いてくださいました(*´▽`*)!
【相合傘の下で】
「写真撮ろ、写真!」ある晴れた日曜の昼下がり、毎度のことながら唐突に守が言った。
「はぁ?」
訝しげに顔を上げると超絶笑顔の守と視線が合う。
「いいよね?」
「いやだ」
すげなく返したにも関わらず、守はめげずに返してくる。
「何で?」
「何でって……じゃあ逆に聞くが、何で急に写真なんか撮りたがる?」
どうせたいした理由もないだろうと問うと即答された。
「二人で写った写真が欲しいから!」
「理由になってない。却下!」
「じゃあこの間の小テスト目標点突破のご褒美使う!」
「なっ!?」
まさかそこまでして写真を撮りたがるとは思っていなかったので、言葉に詰まる。
確かに9割超えたら一つだけ簡単なお願いを聞くという約束をしていた。
してはいたが……。
「ね、いいでしょ?」
お前は犬かといいたくなるほどしっぽが盛大に振られているのが見えるような気がした。「ね、ねっ?」
「分かった!分かったから落ち着け」
「やったぁ!」
押され負けて許可を出すやいなや、守は机や本を脇においやりはじめた。
「おい、ここで撮るのか?」
「うん。そこの窓の前に立って」
「窓の前?」
窓の外に花でも咲いてる季節ならわからなくもないが今は冬。
外は寒く、部屋の中はエアコンがついているので温かい。
当然のように結露で曇っていて外なんて見えない。
「いいのか?ここで」
「いいから、いいから」
ウキウキ、ワクワク。
そんな空気を感じるが何を企んでいるのか、その笑顔からは読み取ることはできない。
仕方なく言われたとおりに窓の前に立つ。
「ここでいいのか?」
「んー、もうちょっと右」
一歩右による。
「逆!あなたからいったら左、左」
前に立ってなにやら真剣に立ち位置を確認している。
何かあるのかと辺りを見渡しても何もない。
「お待たせ。シャッター押して十五秒だからね」
十五秒って長くないか?と突っ込む間は、俺にはなかった。
守はさっさと机に本を積み、その上に置いたデジカメの位置を整えて手を振る。
「はい、撮るよ。えい!」
「おいっ!」
「は〜い。13・12〜」
シャッターボタンを押して守が隣に立つ。
肩が触れるか触れないかの位置に立たれると何となく落ち着かない。
なにやら守はまだ後ろを向いてごそごそしている。
「守?」
「はいはい、カメラ見て見て。5・4…笑って!」
隣でイェイ!と守がVサインをする。
真似なんかできず、腕を組んでカメラをにらむ。
“カシャッ” シャッターのきれた音がする。
「ありがと〜。スッゴく大切にするね」
「あっ、あぁ……」
何か怪しいが理由が分からない。
振り返ってみてもそこには結露が流れる窓があるだけ。
守はとった写真を確認して嬉しそうにしている。 きっとこの時リュートがこの写真にもう少し興味を持っていたのなら、彼はこの写真が残ることを許しはしなかっただろう。
しかしリュートは確認しなかったのだ。
だから彼はまだ知らない。 自分と守の頭上にかかった相合傘の存在に……
END
可愛いお二人のあったかコラボ♪お二人の頭上に相合い傘が見えます!私も混ざりたいです!(邪魔です)
ゆきレモンさんのHP『雪のしずく』
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