留輝様:守→リュート
マモリュ初期設定(友情エンド)にちなんだSSです
(リュートの結婚式で、守が友人代表のスピーチをする話)
今日は、大切な日だ。
俺も、ちゃんとした服を着て。
手には何度も何度も読み直したスピーチの原稿。
1行目にはお祝いの言葉。
俺は、笑って言えるだろうか。
『友達になろうよ』最初に言ったのは俺だ。
そう、最初は友達で良かったんだ。
だけど、気付けば気持ちは強くなっていった。友達では物足りなかった。
友達からレベルの上がった親友になりたかったわけじゃない。
いや、もうすでに親友と言っていいほど、仲は良くなっていたのかもしれない。
『友達になろうよ』と俺が言ってから、俺とリュートの関係は変わった。
今までの良く分からない関係から、“友達”というものに本当になれた。
最初は、ときどきリュートも無理をしていた。
だけど、徐々に距離は近まって。
気付いていたときには、俺はもうリュートが好きだった。
“友達”ではなく“恋人”になりたいと思った。
“友情のキス”そう言って、リュートと何度もキスをした。
このまま、俺とリュートは付き合うんだ。俺が告白すればいい。そうすれば……。
『守、俺……彼女できた』
顔を真っ赤にさせながら、兄さんよりも先にお前に言いたかったと、最高にうれしい言葉も一緒にくれた。
『そうか。よかったな』
無理矢理笑顔を作った。心の底では、言葉とは正反対の事を思った。
リュートに対して最低なことをしている、わかってはいたが、どうしようもでいなかった。
『守、あの……結婚、する……かも』
兄さんよりも先にお前に言いたかったと、前回と同じことを言ってくれた。
『かも』と言っていたリュートは、次の日には『結婚する』と言い切った。
スズと、ネイトも一緒に、4人でのお祝いパーティー。
リュートは照れていた。スズはいつも通りだった。ネイトも楽しそうだった。俺だけが、リュートを心から祝ってやれなかった。
『結婚式のスピーチをお前に頼みたい』
『おまえは、俺の最初の友達で、1番の友達だから……』
俺とリュートの関係は“友達”
それ以上になることも、それ以下になることも決してないのだ。
一生“友達”
『まかせろ! 友達だろ!』
笑って言うと、リュートも笑ってくれた。
あぁ。俺はその笑顔を見るだけで幸せになれるんだ。
「守、緊張してるのか?」
「あ、スズ。なんでもねー」
スズは俺の気持ち知っているのだろうか。
スズなら知っていてもおかしくない。だから、そんな心配そうに見るのだろうか。
「大好きな友達様のスピーチができるなんて俺、幸せ者だな!」
「守……」
「本当だぜ、スズ」
もう1度、持っていたスピーチの原稿を見る。
1行目の文字を、偽りの気持ちではなく、本心で言えるだろうか。
きっと今なら、言えるだろう。
「それでは、新郎の御友人である須山様からお祝いのお言葉を」
「ご結婚、おめでとうございます!」
END
「一生友達」って優しく切ない言葉ですね(;−;*)。本編では、友情からの脱却を頑張らせたいです。
※R18
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